士別市議会選挙解説
 10日に告示となった市議会議員選挙は、17日に開票が行われ22人の当選者が決まった。
 現職が17人、元職1人、新人6人が立候補し、2人オーバーの選挙戦は前回(98年)とほぼ同じ構図だった。

 今回の市議選で注目していたのが投票率。
 最終的には、前回よりも7・81ポイント下回り、さらに80%を切る、通常の市議選としては最低の76・24%となった。
 当日の有権者数は1万8839人で、4477人が有権者に与えられた「投票」という権利を放棄したことになる。

 市議選は市民にとって、最も身近な選挙である。
 その選挙において2割以上の有権者が棄権した現実は、今回当選した22人の議員がしっかりと受け止めなければならない。
 士別市内におけるインフラ整備はほぼ完了していると言え、従前のように地域的な細かな課題を解決するために議会議員を選ぶという考え方は、もはや通用しなくなってきている。
 本社が今回の立候補者を対象に行ったアンケートでも、これからの議員像について「多くの市民の声を聞き、幅広い視野を持った議員の姿」と言った回答が圧倒的に多かった。
 当選した議員は、まさにこれを実践すべきである。
 地域的課題解決のために、議員として活躍する場が徐々になくなってきた現状では、議員自らが多くの市民の声に耳を傾け、まちづくりのためのイニシアチブを握るような、マクロ的な役割が求められる。
 今回の選挙に関しては、当初から市民は冷めた見方をしていた。ある意味、市議選に対する関心の薄さである。
 それが立候補への意欲、投票率の低下にとつながった形となった。

 投票所別の投票率を見ると、有権者が集中する市街地区での投票率が軒並み70%にとどまり、最も有権者が多い士別南小学校は71・47%と、投票所別でも最低の投票率となった。
 また、投票率が90%を超えた投票所は、わずか5カ所だけで、それも有権者数が350人以下と言う小規模な投票所だ。

 議員に求められている役割は、確実に変化してきているだろう。
 そうした時代の変化に対応するためにも、現在の議員定数が本当に適正なのかについても、真剣に論議していくべきだ。
 市町村合併や財政の立て直しなど、士別市が抱える課題は数多い。
 これらの課題を解決し、さらには政治不信の拡大を阻止していくため、22人に与えられた責務は重い。
 低調だった今回の選挙の意義をそれぞれが自覚して、士別市が前進していくために、渾身の力を振り絞らなければならない時となっている。