柿崎氏が制し、２人目の女性議員が誕生

　欠員１に対して、新人の柿崎由美子氏（62）＝無所属＝と、前職の寺下亘氏（64）＝共産＝が立候補していた士別市議会議員選挙は、19日に投票が行われ、即日開票の結果、柿崎氏が５０８８票を獲得して初当選した。寺下氏は２０１３票で、返り咲きを果たすことができなかった。注目された投票率は39・07％で、前々回（94年）の市議補選よりも10ポイントほど下回り、市内で行われた選挙としては過去最低を記録した。
　市議補選の開票作業は、午後９時15分から士別市総合体育館で行われた。
　開票率が50％を超えた午後９時55分の段階で、柿崎氏２５００票、寺下氏１５００票と初めて差が付き、午後10時で柿崎氏４０００票、寺下氏１９００票と、柿崎氏が当選を確実にした。
　柿崎氏は、告示の５日前に立候補の表明を行い出遅れが心配されたが、民主党、連合、農連に加え、急きょ発足した後援会の４軸体制で支持の拡大を図ってきた。
　消費者協会会長という立場から、市政の流れを変えようと主婦の目線での課題提起を積極的に行ってきた。
　当初から、投票率の低下が懸念されたなかで、組織票と女性票を取りまとめ、前職の寺下氏に３０００票以上の大差をつけて、初当選を果たした。
　寺下氏は、前回（98年11月）の市議選で次点と惜敗し、その雪辱を期しての立候補となった。
　士別身体障害者協会会長、士別地方厚生企業組合理事長として、障害を持つ人たちや季節労働者の立場になり、誰もが安心できる福祉の充実などを求めて、有権者に政策を訴えてきた。
　ただ、市長選が無投票となり、全体的に市民の関心が低かったことによる投票率の低下で、訴えを投票行動につなげることができず、結果的には柿崎氏に３０００票以上の差をつけられてしまった。
　今回の選挙で、注目されたのが投票率の動向。
　これまで、市政選挙での投票率が最低だったのが、市長選が無風となった94年の市議補選。
　このときは49・22％だった。
　今回は、当日の有権者数が男８６８３人、女９９７０人、合計１万８６５３人。
　このうち、投票者数は男３３７９人、女３９０９人、合計７２８８人で、投票率は39・07％と国政・道政含めて、市内で行われた選挙としては過去最低を記録した。
　また、無効票は１８７票あったが、このうち白票が１１６票、候補者に関係のない雑字記載が37票となっていた。

「主婦の視点」で市民と行動
　かきざき由美子後援会事務所では、午後10時の開票で当選確実となると集まった支持者から大きな拍手がわき起こり、その連絡を受けて後援会事務所に柿崎由美子氏が到着すると支持者らは一層温かい拍手で「柿崎新市議」を迎え入れた。
　当選が支持者にあらためて伝えられると、柿崎氏は両目の入っただるまに白地で「Ｖ」を書き入れ、全員で当選の万歳三唱をして再度当選を祝った。
　このあと後援会会長でもある片岡哲男選対本部長が「立候補の表明以来12日という短期間でしたが皆さんの努力で当選できました。この空気を11月の本選に向け後援会を通じて頑張っていくつもりです。ここでお礼と今後の決意を申し上げます」と支持者に感謝の気持ちを話し、選対委員長の佐々木隆博道議、沼館初男選対委員長代行もお礼を、駆けつけた田苅子進市長がお祝いの言葉を贈った。
　マイクガールの女性から花束を受け取った柿崎氏は「短い期間にいろいろ勉強し、いい経験をしました。『当選』の２文字はまだピンときませんが、応援してくださった皆さんへの感謝と市民の皆さんの役に立ちたい、ただそれだけです。本当にありがとうございました」と感極まった表情でお礼と当選の喜びを語った。
　柿崎氏は４月下旬に立候補を決意。短期決戦となったが、選挙運動期間中は女性からの反応が大きかったように感じた、という。
　今後は「食の安全・自然環境・子どもの未来・老後の暮らし」の４点を柱に、「生活の足下の本当に小さいことを考えられるのは主婦の特権。それを市民の代表として議会の場で提言し、市民・行政・そして自分が一緒になって改善に向けて行動・実践していきたい」と抱負を話した。
(写真＝当選しダルマにＶの字を入れる柿崎氏）